- くだり
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くだり【下り・降り】〔動詞「下る」の連用形から〕(1)高い所から低い方へ移動すること。 上から下におりること。 また, その道。⇔ のぼり「登りは苦しいが~は楽だ」「この先は~になっている」(2)乗り物や道路など交通機関で, 線区または路線区の起点から終点への方向。 また, その方向に走行する列車やバス。 《下》⇔ のぼり「~の最終列車」「~車線」(3)上流から下流の方向へ行くこと。 《下》⇔ のぼり「淀の~」「川~」(4)都から地方へ向かうこと。
「斎宮の御~などぞやうの折の/源氏(関屋)」
(5)近世, 上方から江戸へ向かうこと。 また, 上方から江戸にもたらされた物産。「酒は嬉しくも地酒にあらぬ~なり/ふところ日記(眉山)」
(6)〔内裏が都城の北にあったところから〕京都で, 南へ向かって行くこと。⇔ のぼり「三条を東へ, 高倉を~に/平治(中)」(7)上方から江戸へ来ている人。「~の乗込み, 一座のさはぎ/滑稽本・根無草後編」
(8)昔の時間の単位である時(トキ)の呼び方で, ある刻限の終わり近く。「申(サル)の~/宇治拾遺 11」
(9)下痢。 くだりばら。「いよ~も留りませず, 大ねつがさしまして/浮世草子・織留 4」
(10)(地名の下に付いて)その土地のはずれの方, また, 遠く隔った土地の意を表す。 くんだり。II「わざ鎌倉~迄出掛けて来て/彼岸過迄(漱石)」
くだり【件・条】〔「下(クダ)り」と同源〕(1)文章や話の中の一定の部分。 章。 条。「かぐや姫昇天の~」
→ くだん(2)前に述べた文の箇所。 前に述べた事柄。 くだん。III「上(カム)の~啓せさせけり/大和 168」
くだり【行】〔「下(クダ)り」と同源〕※一※ (名)(1)文章の縦(タテ)の行(ギヨウ)。「~の程, はじざまにすぢかひて/源氏(常夏)」
(2)(着物の)縦の線。「手本(タモト)の~まよひ来にけり/万葉 3453」
※二※ (接尾)助数詞。 文章の行(ギヨウ)を数えるのに用いる。IV「ただ三~ばかりに, 文字ずくなにこのましくぞ書き給へる/源氏(梅枝)」
くだり【領・襲】助数詞。 装束などのそろったものを数えるのに用いる。「袈裟・衣など, すべて一~のほどづつ/源氏(橋姫)」
Japanese explanatory dictionaries. 2013.